vol.4 「『出会う』ことの大切さ」
今野 天真 さん
('22 卒 / ロントラ株式会社)

大学への入学を決めた理由は?

僕はクリエイター志望じゃなく、地元で「公務員」がいいな、なんて漠然と考えていたので、自分の学力で入りやすそうな大学のパンフレットをいくつか見て、まちづくりなどの活動もしている八工大が目に留まったのがきっかけです。ものをつくるのも嫌いじゃないし、ま、楽しそうか、って軽い気持ちで受験してわりと簡単に合格、入学してしまいました。

卒業する今、感じているのは「出会い」の大切さ、そんな4年間でした。

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▶︎ロントラ株式会社


『出会い』が自分を変えていった4年間。


実際に、軽い気持ちで入学して後悔した?

そうですね、はい、とても後悔しました(笑)。

1年生の授業で「デッサン」があるんですが、絵を描くことは苦手と思っていなかったのに、意外な人が思っていたより上手かったり… 例えば、絶対スポーツしかしてこなかっただろうな〜、みたいなヤツがサラッと上手いデッサンを描いてて、明らかに美大受験とか目指してただろうなっていう同級生もいて、一気に自信を無くしました。周りと自分のスタートラインの差を感じて「こんなクソみたいな作品を他の人に見られたくない」と思って恥ずかしさを感じてしまいました。

ただ、友人との出会いでかなり意識が変わりました。

入学して1年が経つ頃、だんだんと仲が良くなった友人(通称ゴリ♂)がいて、最初は美術系高校出身で作品づくりが大好き、という感じで近寄りがたいと思っていました。でも話してみたらただのドルオタ(アイドルオタク)で、けど、作品はいつも自信たっぷり…と、言うより、自分の作品に対して強い愛情を持っているのを知りました。
僕は、授業課題の作品もすぐにどこにやったか忘れたり捨てたりしてしまったけれど、
ゴリ♂と一緒に大学生活を過ごすうちに、自分に自信を持つ、自分の作品を恥ずかしがらない、作品をちゃんと愛する…という感じで、強く影響を受けるようになりました。
そして、制作を丁寧に、
根本的に真面目にやるように変わっていきました。

岩手県山田町での課外活動時に参加した今野さん(2021年8月)

ゼミでの制作に取り組む今野さん(2020年11月)

友人との出会いが良い影響になったんですね。その他に何か影響を受けたことは?

はい、友人ゴリ♂との出会いで「己に自信を持つ」ということを自然と教わり、それが僕のいまの原動力です。
それだけじゃなく、3年次のゼミ配属から教わることになった宇野先生との出会いからも、たくさんの影響を受けました。

宇野先生のゼミは、件のゴリ♂だけじゃなく、その他にも個性的で実力のある同級生たちばかりの、まさに意識の高い「エリート集団」という感じ。
宇野先生は僕が3年になった時に着任され、フレッシュで親しみやすいだけじゃなく、色んな意味でパワータイプ、それでいてデザインや芸術に対しても深い知識を持っていて、進化を求める僕やゴリ♂などのゼミ生みんなが宇野先生を好きになるのは必然。毎日、大学に行くのが楽しみになりました。

ゼミでは、これまでの2年間が何だったんだろうか…と思うくらいイチから鍛え直され、電動工具や単管パイプを使った空間的な造形から、Illustrator・Photoshop、webから映像まで、自分のアイデアを形にするために必要なことを全て教わることができました。その集大成である卒業制作では、「折る」ことをテーマにした空間表現としてインスタレーション作品を制作しました。制作は自分の考えの甘さ、実際に作業して改めて分かった技術の不足などの壁があり、苦しく、辛い思いをしましたが、けれど自分で考えたアイデアだから何とかしてでも成し遂げよう、自分の作品をしっかりと愛せるようにと、最後まで諦めずに制作しました。最終的に中途半端な出来栄えになったところもあるけれど、4年間、すべてがうまくいっていたわけではなく凸凹だった自分の大学生活が表れた作品になり、まあ、自分、頑張ったなぁ…と、褒めてやりたいです。

宇野ゼミのメンバー集合写真(2021年12月)
*写真中央が宇野先生 / 写真右の脚立の上に座っているのが今野さん / 写真右端が
ゴリ♂さん

今野さんの卒業制作折る行為をめぐる想像力」(20221月)

卒業後はどんな仕事に就くのですか?

僕は、主に映像制作をする会社に入ります。TV番組やCMのほか、YouTubeなどの動画やVR、WEBムービーなどを手掛けている企業で、撮影と映像編集の業務を行うAD(アシスタントディレクター)から始めます。勤務地は東京の予定ですが、ロケで地方出張も多いようです。内定した同期の人たちともすでに色々な話をしていますが、ゼミでの時間がそのまま続くような楽しさを感じています。

大学に入学した頃は、自分がこんな仕事に就くなんて思ってもいませんでした。けれど、制作に没頭できた時間を一緒に過ごした友人、厳しいながらも僕のこだわりを尊重していつも見守ってくれていた先生がいて、その結果として、映像制作の仕事に就けたのは大成功と考えています。
自分の考えた企画ややってみたいアイデアを、多くの人を巻き込んで実現できるような人になっていきたいです。

今野 天真 さん
秋田県秋田市出身
秋田・県立新屋高等学校 卒業
2018年 八戸工業大学感性デザイン学部 入学 / 2022年 卒業